iPadで開発環境を構築する
iPadを本格的なプログラミング開発端末として活用するための方法として、VS Code Tunnelsを使った開発環境の構築手順を紹介します。
iPadで開発するメリット
iPadで開発するということに特に理由はありません。ただiPadを持っているから、といのが主な理由です。
私が持っているのはiPad miniなので、手軽に持ち運びできるデバイスで開発ができれば便利そうと思ったのがきっかけではあります。
しかし、iPadでプログラミング開発となると、いくつかの壁があります。
- OSの制約: iPadOSでは、ローカルサーバーを立てたり、Dockerコンテナを動かしたりといった、モダンな開発で必須となる作業が難しい。
- IDEがない: PCで使っているような高機能なIDE(統合開発環境)がiPadにはない。
これらの課題を解決し、iPadで開発できるようにするのが「VS Code Tunnels」です。
VS Code Tunnelsとは?
VS Code Tunnelsは、一言で言うと「手元のPCで動いているVS Code環境に、どこからでもブラウザ経由で安全にアクセスできる機能」です。
メインの開発マシン(MacやWindows、Linux)でトンネルを有効にすると、vscode.dev
というURLを通じて、iPadのブラウザからいつものVS Code環境をそのまま利用できるようになります。
構築手順
セットアップは非常に簡単です。ホストとなるPC側でいくつかのコマンドを実行するだけです。
1. ホストマシンでの設定
まず、メインで使っている開発マシン(ここではMacを例にします)で設定を行います。
VS Code CLIのインストール
VS Codeには、コマンドラインから操作するためのcode
コマンドが付属しています。
VS Codeを開き、コマンドパレット(Cmd+Shift+P
)から「Shell Command: Install 'code' command in PATH
」を実行して、code
コマンドをインストールします。
トンネルを有効にする
ターミナルを開き、以下のコマンドを実行します。
code tunnel
初めて実行すると、GitHubアカウントでの認証を求められます。指示に従ってブラウザでログインと認証を完了させてください。
認証が成功すると、ターミナルに以下のようなメッセージが表示され、トンネルが有効になります。
*
* Visual Studio Code Server
*
* By using the software, you agree to the Visual Studio Code Server License Terms (https://aka.ms/vscode-server-license) and
* the Microsoft Privacy Statement (https://privacy.microsoft.com/en-US/privacystatement).
*
Open this link in your browser https://vscode.dev/tunnel/YOUR_TUNNEL_NAME/
この https://vscode.dev/tunnel/YOUR_TUNNEL_NAME/
というURLが、iPadからアクセスするためのURLになります。
ちなみにYOUR_TUNNEL_NAME
はVS Codeの設定remote.tunnels.accessから変更できます
2. iPadからのアクセス
次に、iPadでブラウザ(Safariなど)を開き、先ほどターミナルに表示された https://vscode.dev/tunnel/YOUR_TUNNEL_NAME/
のURLにアクセスします。
すると、見慣れたVS Codeの画面がブラウザ内に表示されます。これで準備は完了です。